「ドバイ国際空港は、世界で最も忙しい空港の一つであり、年間約9000万人の利用者数を誇る。ターミナルは3棟あり、そのうちターミナル3は世界最大のターミナルとして知られている」

顕治は行き交う人々に目を見張った。人類の多様性の「舞台」を見ているようだった。空港内はまるで国際連合の会議のように、あらゆる国や地域の人々で溢れていた。

伝統的なドレスを着た人々、ビジネススーツに身を包んだビジネスマン、カジュアルな旅行者、多様な民族衣装をまとった人々など、世界各国の文化がここで交差している。

さらに、さまざまな言語が飛び交っている。

ドバイ国際空港はとにかく広くて豪華で、ターミナルはまるで巨大なショッピングモールのようになっており、別世界に来たような気分になった。

顕治もアジア人として見られているのだろう。空港は過ごしやすい温度に保たれているようだがその温度感覚も多様だ。もろ肌腹出しの女性に出会う。寒くないのか聞いてみたかった。

昨年の旅の際、ヒースロー空港で乗り継ぎできなかったことが顕治の脳裏に焼き付いていた。コロナ禍での空港職員不足による混乱がトラウマのようになっているから、乗り継ぎに失敗しないように集中した。

幸い、空港職員の人員も確保されているようで乗り継ぎ時の荷物チェックもスムーズに流れた。多くの人の流れについて行けばいいが、一人ひとりの次の搭乗口は違うからそこは自分で探さなければならない。

とにかく早くその場所を見つけるため、近くのエミレーツの職員に聞いた。搭乗券を見せると、職員専用のデバイスで調べてC3の搭乗口と教えてくれた。

世界最大級のターミナルはさすがに大きく、移動式エスカレーターに何回も乗り継いで延々と歩き、そこに到着できた。しかしそこに掲示されている便名が違う。ここでもう一度便名と搭乗口を一覧にしている電子掲示板を確認するとC6とあった。最後は自分で確かめろということだ。

経由地のドバイを8時40分に飛び立ったエミレーツ航空157便は、13時45分に無事着陸した。

顕治にとって初めてのスウェーデン・ストックホルム・アーランダ空港は、冷たい雨で迎えてくれた。18時間を超える緊張のフライトと乗り継ぎ、これが今回の最初の大きなハードルだった。

それもなんとか乗り越えられた。機内食も完食し、機内でも眠れたことがありがたかった。 入国手続きがえらく時間がかかり、顕治は最後になってしまった。

荷物が大丈夫か不安なまま荷物受取所に行くと、顕治の荷物がポツンとコンベアーに残され回っていた。あーあよかった。しかし黄色のスーツケースベルトが外されてなくなっている、何故? 中身が調べられたのか。その原因を探るゆとりもなく、顕治は先へ進んだ。

 

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