当時NHKホールは千代田区にあり、東京駅が最寄り駅でした。急いで東京駅に行き、皺だらけになった制服に着替えてNHKホールに戻りました。自分の順番を待ちながら原稿を読み直していると、今度は内容に間違いがあることに気がついたのです。

「先生! 間違いがありました!」

「ええっ!」

「どうしましょう」

「もういいから、そのまま読みなさい!」

 
本当に気のもめる生徒で、先生も大変だったと思います。やがて、私の前の人の番になりました。後ろから見ているとその人は緊張で声も体も震えていました。

その姿を見ながら、「頑張れ!」と心の中で応援していると、不思議なことに自分の気持ちがどんどん落ち着いてきて、普段通りに読むことができたのです。

そして、結果発表。期待していた文芸部門は残念ながら入賞できませんでしたが、何と私がアナウンス部門で全国四位になったのです! 今振り返っても信じられない出来事でした。

直江津と私中学生のときだったか、直江津で大洪水が発生し我が家も水浸しになりました。あいにく父は学校の宿直当番で不在、母は体調悪く寝込んでいて、長姉と二人で外を眺めていると道路から水がどんどん流れ込んできて、あっという間に玄関から侵入。

あわてて母を起こし二階に避難しました。結局、床上八十センチまで浸水して、応接室のピアノはひっくり返り、台所の油は漏れて、あと始末が大変だったことを覚えています。

その後、もう一度洪水が発生し、また浸水かとヒヤヒヤしましたが、床下ギリギリで止まりホッとしました。その後河川工事が行われ、二度と洪水は起こらなくなりました。