【前回の記事を読む】「自分の通夜で流してほしい」オーケストラで聴いた、忘れられない「あの曲」とは――?

第六章 2016年

3月2日(水)
認知症事故判決

しばらく良子について書かなかったのは、良子の具合が非常に良いからである。

ありがたいことに10日余り、ダニエル・バレンボイムに熱中できた。

先月21日に、体重が52.6kgになったと喜んだ。一時は51kgを切っていた。それが27日には53.6kgになっている。1週間で1kgの増加である。手術前は59kgあったのでそこまでの復帰はしていないが、むしろ現在の方が標準体重なのだと良子はいう。

今日は丸山ワクチン取得のための「SSM臨床成績経過書」にT先生の署名を頂いた。

良子の話はこうである。

「(抗がん剤の)副作用はないですか?」
「ないです」
「抗がん剤が効いていないのかな」
「丸山ワクチンのおかげではないでしょうか。抗がん剤の副作用を抑える効果があるそうですから。証明はできませんが」

T先生は笑ったそうである。この先生は丸山ワクチンを“水のようなものだ”と信用していない。しかしこれからの良子を見て、考えを改めるかもしれない。

前回は私が記入した「治験書」にサインを貰っただけであったが、今回は全体を自ら書き入れてくれたそうである。