【前回の記事を読む】監視カメラの映像を最後までチェックしてみたが、特に不審な動きをする者はなかった。しかし、あることに気づき映像を止めてみると…
眠れる森の復讐鬼
「君の言うとおり、あの事件に関して俺は自分なりに調べ上げた。宇栄原桃加、高橋漣、石川嵐士、中村大聖、この四人がいじめの首謀者だってことも突き止めていた。だから宇栄原桃加がこの病院で働いていることも、あの三人がこの病棟に入院することになったことも到底受け入れられなかった。
だがね、だからと言ってどうすればいいと言うんだ。どうしようもないじゃないか。あいつらを殺したって梨杏が元に戻るわけじゃない。言っておくが、俺は何もしていない。俺を疑っているのならお門違いだ」
「梨杏が現れたことについてはどう思います」
「俺にも分からない。だが父親としては彼女が殺人を犯したなんて信じたくない。でも同時に彼女が意識を取り戻し、歩けるようになったのならと・・・・・・それを望む恐ろしい気持ちもあるんだ。もうこれ以上は勘弁してくれ」
金清は辛そうにうつむいて眉をひそめ、目を閉じ、両膝を両手で握り締めた。海智と一夏は深い溜息をついた。
「ともかく、解剖の結果を見ないと。まだ死因も同定されていないわけだから。それからまた話し合いましょう」
海智はとりあえず重苦しくなった場を収めるためにそう言った。だが、翌日事態は収まるどころか収拾のつかない方向へ向かったのである。