【前回の記事を読む】「悪い虫は駄目だけどな、女の子は虫が付くぐらいがいいぞ!」父親の言葉を真に受けた少女は…
第二章
摩訶不思議な体験
ある時は、虹の彼方を見る事も有り、はたまた、空に浮かぶ大きな女神さまに会った事も有る。
それは、ただの子供の幻想世界と、一口に幻想では片付けられない、全く分からないが、現実に近い体験だった。
それらは、空に投影した未来の映像技術なのか……。
この話を知った未来人が、たかちゃんをからかった物なのか?
本当に幻だったのかは、それは定かでは無い。
その不思議な体験には、更に続きが有る。
それは、たかちゃんの大事な宝物が、その手から消えた事だ。
正確に言えば、持ち去られた。
ブリキの歩くロボットや人形が、たかちゃんの手から宙に浮き上がって空に消えた。 未来人でも、決して許されない事だ。
空に向かってたかちゃんが、口汚く罵るが、その浮かぶ存在は、それを全て無視して持ち去ったのだ。
その後にも、たかちゃんは不思議な体験を重ねている。
昔は、今では考えられない怖い物や嫌な事も、当たり前に多い時代だった。
いつからか鋭敏になった感覚から、見えない者が見えたり聞こえない物が聞こえる様になった。
たかちゃんは、用事を済ませてから帰りの道、昼間の電車の線路の踏切で、鈴の音を聞いた。
真昼の踏切の遮断機の向こうに、鈴を持ったおばあさんの姿が見えて仕舞い、たかちゃんの顔色が変わり体が硬直した。
それは、近所でも有名な、子供を探す鈴のお婆さんの幽霊が出ると言われていたからだ。