【前回の記事を読む】祖母はおかしな人だった。少女の小さな体に木箱を背負わせ、用心棒代わりに連れ歩く。行く道は獣道で、うっかり足を滑らせれば…貴重な薬を届けると、そこの人たちから凄く喜ばれていたが、たかちゃんには見返りも報酬も無く、全く実入りは無い仕事で有った。しかし、それで助かる人がいて喜ばれるだけで、それが嬉しくて、毎回、お婆さんからの薬運びを引き受けていた。 これは後の話だが、たかちゃんは、…
[連載]たかちゃん幻想絵巻
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小説『たかちゃん幻想絵巻』【第8回】齋藤 務
「お尻の匂いを嗅げば分かるんだよ」祖母は必ず熟した甘いメロンを選び出した。しかし、傍から見るとその姿はあまりに…
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小説『たかちゃん幻想絵巻』【第7回】齋藤 務
祖母はおかしな人だった。少女の小さな体に木箱を背負わせ、用心棒代わりに連れ歩く。行く道は獣道で、うっかり足を滑らせれば…
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小説『たかちゃん幻想絵巻』【第6回】齋藤 務
「母親を気に入ったのはなぜ?」と聞くと「母親の着ていた最新型の水着姿が、兎に角、眩しかった」と答えた父親
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小説『たかちゃん幻想絵巻』【第5回】齋藤 務
鈴を持ったおばあさんの姿が見えてしまい、身体が硬直した。この近所では、子供を探す鈴のおばあさんの幽霊の話が…
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小説『たかちゃん幻想絵巻』【第4回】齋藤 務
「悪い虫は駄目だけどな、女の子は虫が付くぐらいがいいぞ!」父親の言葉を真に受けた少女は…
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小説『たかちゃん幻想絵巻』【第3回】齋藤 務
「おいおい、いいのかい? この子に全部金魚を掬い取られるぞ!」だが、屋台主は全く動じずに、涼しい顔をして…
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小説『たかちゃん幻想絵巻』【第2回】齋藤 務
「死んだら焼いて食っちまうか?」死に掛けの大きな出目金の横に、七輪を用意する。
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小説『たかちゃん幻想絵巻』【新連載】齋藤 務
たった一つの目に映る戦後の荒んだ社会と、あどけない少女。家族は、ある一つの信念をもって生きて行く...