【前回の記事を読む】「猫を飼うな」と言う母と、「猫が好き」と言う父——家族の反対を押し切り、たかちゃんは猫にまっすぐな愛情を注いでいく。
第二章
白猫のミーちゃんとたかちゃん
誰にも懐かないと言われていた白猫は、ミーちゃんといい、気位の高い大きな猫だったが、飼い主の言う話とは違い、度々見に行くと、たかちゃんに酷く懐いてきた。
白猫の方が、たかちゃんを気に入って仕舞い、凄く懐いて仕舞った。どうしてもミーちゃんが欲しいたかちゃんが、飼い主に、
「ねえねえ、見てみて、こんなに懐いたよ」
と、言う。たかちゃんに対して、絶対に懐かない猫の豹変ぶりに、飼い主は呆気に取られて仕舞った。
それで、白猫の飼い主は仕方なく、たかちゃんに白い猫を譲る事にした。
「いーい、この白い猫は神様の使いだから、大事にしてあげてね!」
「うん、大事にするよ!」
たかちゃんは、大きな白い猫を抱き抱えて、お婆さんの家に連れて行った。
それを見たお婆さんが、
「何だい、何だい、たか、またあたしん所に、猫を置いて行くのかい?」
「凄く大きいでしょう! これなら大きな鼠も捕まえられるよ!」
「そんなに大きな鼠が出るのかい?」
たかちゃんが、顰めつらのお婆さんを見上げて言う。「二匹いれば安心だから、ねっ!」
「いいでしょ、お母ちゃんが猫嫌いなんだもん」
「ああ、全く仕方がないね、下生(げしょう)はいいのかい?」
「うん、いいよ」
白猫のミーちゃんも、お婆さんの家で飼う事になったが、しかし、先にいた三毛猫のミーちゃんと、後から来た白猫のミーちゃんは、酷く仲が悪く最悪だった。
前は同じ家で飼われていたが、兎に角、本当に仲が悪い。しかし二匹とも、たかちゃんとは仲良しだった。
たかちゃんは、体が大きい、その白猫のミーちゃんに、まだ小さい三毛猫のミーちゃんを押し付けた。
たかちゃんのする事に対しては、白猫のミーちゃんは大人しくしている。
まだ子猫だった三毛猫のミーちゃんが、大きな白猫のミーちゃんに甘えていたので、これでやっと二匹が仲良くなると思い、たかちゃんは安心した。
だがしかし、白猫のミーちゃんは、たかちゃんの前では、猫を被って大人しいが、少し目を離した隙に、目障りな三毛猫のミーちゃんを撃退して家から追い出して仕舞った。
白猫のミーちゃんに、こっ酷く追い払われて、家を逃げ出した三毛猫のミーちゃんは、もう戻っては来なかった。
お婆さんの家には、白猫のミーちゃんだけになって仕舞ったが、白猫のミーちゃんは、たかちゃん以外の人には懐かずに、たかちゃんがいない間は、ミーちゃんは、プイとどこかに行き、家にはいない事が多い。兎に角、普段から誰にも媚びを売らず、プライドが高い猫だった。
だが、たかちゃんの姿を見ると、どこからとも無く飛んで家に帰ってくる。お婆さんの家にたかちゃんが来るのを、先回りして待っている猫だった。
たかちゃんが、お婆さんの家に行くと、必ずミーちゃんは待っていて、たかちゃんの傍に寝そべって、たかちゃんに寄り添い愛情深く、まるでたかちゃんのお母さんの様にしているのだ。