「上手いわね!」

と、褒められるが、

「そんな事ないよ、先生が教えるのが上手いからだよ」

と、言うたかちゃんは、生まれつき音感がいいのと、手先が器用な事で、見様見真似でピアノを直ぐに弾けるようになっていた。

たかちゃんは非常に鋭い感覚を持っていて、生まれつき絶対音感が備わっていた。

楽器の曲を一度聞いただけで、ドレミのどの音階か、すぐに分かり、ピアノでそれらを再現する事ができる。

なので楽譜も読まずに、音階がちゃんと区別できて、ピアノをはじめ、楽器の類の弾き方で音色の再現ができた。

本能的な直感と柔軟さで、試しに出される大抵の難題は解決できたのだが。

しかし、たかちゃんは、感覚が人よりも少し鋭いために、周りの大人が驚いて、みんなそれを確かめようと、無理矢理に本当にできるか試したりする。

出される難問をこなし、たかちゃんは、難なく同じ事を再現して見せる事ができた。

だが、たかちゃんは、人から試されるのが好きでは無かった。

人はたかちゃんが、何でもできると驚くが、昔から、大道芸人などは鋭い直感で技を磨き、日々の生活をしている。

何も無かった時代には、人々は娯楽や余興などに貪欲で、何かを作り出したり見せる事を求められたが、しかし、録音機も無い時代には、全く知らない歌を聞けば、誰かに伝えるために、その歌を覚えるしか無く、空覚えで聞いた歌を自分が歌って伝えていた。

何も無い場合は、同じ物を再現する物が無ければ、自分で再現するしか無く、その再現には、自分の記憶や直感に頼る事になった。

  

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