将来、北極圏から外れてしまう国

アイスランドは「北極圏の国」だと言われている。北極圏(Arctic Region)というのは、北緯66度33分以北の地域、即ち、地球上で北緯66 度33 分を結んだ北極線(Arctic Circle)より北側の地域を指すのだが、世界中で国土が(一部でも)北極圏内にあるのは、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、ロシア、米国、カナダ、グリーンランド、アイスランドの8ヶ国しかない。

アイスランドの場合、首都のレイキャビクは北緯約64 度である他、国土の殆どが北緯63~66度の範囲にある為、ぎりぎり北極圏外なのだが、唯一、本土から北へ約40kmの北極海上に浮かぶグリムセイ島(Grímsey Island)を北極線が通過している為、国全体としては北極圏内なのだ(図4)。

図4|グリムセイ島の位置

 

グリムセイ島は、行政上は北部のアークレイリ(Akureyri)市の一部で、アクセス手段は、同市から週3便運航する国内(航空)便で約30 分、或いは、北部ダールヴィーク(Dalvík)市からやはり週3便のフェリーで約3時間を要する。

面積は5.3km²、最高点は105m、島の人口は100 名弱で住民の大半が漁業に従事している。11 世紀に建てられた教会はあるが、病院はなく、3週間に一度、医師が飛行機で診察にやってくるそうだ。

2軒のゲストハウスと呼ばれるミニ・ホテルを含め、島内には商業施設と言えるものはカフェ、レストラン、スーパーマーケット(コンビニ)、郵便局、ガソリンスタンドしかなく、バス等の公共交通機関もタクシーもない為、フェリーに車を積んでこない限り、旅行者は徒歩で移動するしかない。

主要産業は漁業だが、天敵がいない為100万羽はいると言われるパフィンを中心とする海鳥と、冬のオーロラをはじめとする絶景、さらには航空会社やゲストハウスで発行して貰える「北極圏到達証明書」を求めて、観光客も増加中だ。

 

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