利用者は7時に起こされて、朝食を食べさせられて9時にお風呂に入れられる。私ならば、入浴は夕方から夜間にかけてしたいし、朝食後はゆっくりと新聞でも読んでいたい。彼らはそれでよし、としているのではなく、仕方なくそんなもんかと思って我慢しているらしい。
健常者と呼ばれる人でもだいたいが色んなものに折り合いをつけて我慢して生きているけど、その比じゃないじゃないか、と思う。
気晴らしも、友達と遊ぶことも、旅行も勉強も恋愛も結婚も出産も仕方なしに諦めて、家族のためなのか、自分はこうなるより仕方ないと思って施設に入るのか。それともこの方が楽だと思って自ら入るのか。人によってさまざまだろうがそれはなかなかに辛い。施設内で叫ぶ人が多くいるが、全くもってそうだろうと思う。思うさま叫んでほしいと思う。
週の半分は生活介護とよばれるデイサービスのような形態のところで働いて、もう半分は近くにあるグループホームで働いているが、そこにいたのは「ものわかりの悪いある利用者」だった。
知的障害を持つ人に「うるせえ」と怒鳴る。
自分の部屋でガスコンロで焼き肉をしていいかと聞く。洋服が好きでひとりしかいないのに、10人分くらいの洋服があって、止むを得ず突っ張り棒にひっかけているが、毎日のようにそれが落ちる。購入した洋服がどこにあるか分からなくなる。部屋は散らかる。ただ、脳梗塞の既往があって片麻痺なだけだ。男の人だ。お菓子を作る作業所で働いている。
これまでどうやって生きてきたんですか、と尋ねたら「反社ですよ、で、風呂屋の女に拾ってもらって結構羽振りよく暮らしてましたよ」と言う。ふむ。なるほど、もとコマしていたわけか。
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