大企業は、設立から長い時間をかけ、気が遠くなるほどの労力と投資を重ね、多くのことを成し遂げてきました。だからこそ、事業創造において、大企業にしか狙えない大きな領域があるのです。そして、大企業はしばしば鈍重な存在と見なされますが、それはまったくの間違いでした。
事業創造において、大企業にしか出すことができない圧倒的なスピードが存在します。ウサギと亀の昔話で例えれば、どこからどう見ても大企業がウサギのほうです。油断さえしなければ、勝者は大企業です。スタートアップを体験し、ようやくこのシンプルな真理にたどり着くことができました。
大企業は、高い確率で新たな事業創造を成功させることができます。では、なぜ、多くの大企業が事業創造において失敗を繰り返しているのか? それは、大企業であるにも関わらず、スタートアップが目指すべき領域を目指しているからであり、さらに言えば、大企業としての特性や大きな既存事業の存在を上手く扱えずに立ち上げ業務を進めるからにほかなりません。
大企業とスタートアップは、まったく異なる構造体です。別物です。大企業も、それを支援するコンサルタントも、これが理解できていないのです。
自身が最も輝ける場所を選び、そこで輝くことが戦略論の基本ですが、大企業の事業創造の多くが、自身が苦手な場所を選び、そこでくすぶり続けているイメージです。大企業にしか狙えない領域を、大企業に相応しいやり方で狙えば、まったく異なる手ごたえが返ってくるはずです。
振り返れば、私のビジネスキャリアはモバイル激動期のNTTドコモから始まりました。
たった数年の間に目まぐるしく事業KSF(重要成功要因)が変わり続けていた時代。顧客はビジネスパーソンから家族に、さらに子どもからシニアにまで広がり、売り方は割賦販売に変わり、販売端末は目まぐるしく高機能化が進み、気がつけば多種多様なガラケーから限られた一部のスマホに移行しました。
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