然しながら、中央部に高温多湿の地域が広く分布していることに不安があった。このような気候の中での暮らしには大きな苦痛を伴うため、調査隊は五段階評価の下から二番目、『移住には解決できない問題点が多々ある』の欄に丸をして女王に報告した。
ちなみに、評価書の最低評価欄には『暮らしを維持するために適当な空気の質と温度が確保されていない状況であり、さらなる悪化が顕著』と記載がある。
その星の地区別の評価書と、それに伴う実際の映像を見た女王の判断は、意外にも調査隊の評価とは異なっていた。果てしなく続く緑の大地に女王は目を奪われた。
今暮らしている星に生息している植物は一様に背が低く葉は硬い。それに引き換えその星の映像には、様々な植物が生息している。調査隊が作成した移住地評価書の内容は認めるものの、さらなる調査の実施を命じたのだった。
その期間は数か月に及び、不眠不休の調査がさらに続いた。
青い海に囲まれた弓の形をした陸地に舞い降りたその調査隊は、海岸線を低空で飛行し生物の分布を映像化していた。
ギラギラと輝く夏の太陽が機体に容赦なく照り付け、あまりの暑さにエンジンはオーバーヒートしそうになった。直射日光を避けるため、機体は樹木に覆われた岩場に移動した。
外気温の低下する夕方までしばしの間ここで待機することとリーダーは命じた。横にはあまたの大木が生い茂り、無数の緑の葉が風に揺れガサガサと音を立てている。前方に広がる海の波は高く、先端は白く砕け散っていた。