「亡くなった方があれば必ず台帳に記入されます。亡くなった日や納骨の日付です。希望があれば宗派によってお坊さんをお願いしてお経をあげていただきます」孝介の言い方に気を悪くしたのか、男は強い口調で言い返した。

孝介は広場へ戻った。

伯父という人がよし子の骨を持ち帰って、実家の墓に納めたのに違いない。

遺言はあったのだろうか、あったとしても結果は同じだろう。

広場の端にかなり大きなドーム型の金色の建物がある。そこが共同墓地だと聞いたが、よし子が居ないのでは参っても仕方がない。

持参した水をまた公園の梅の木の根元にかけた。

眼下の駿河湾は春の気配の柔らかな海が遥かに広がっていた。

これがよし子の意図した結果のはずはない。

前によし子と来たときに座ったベンチまで来た。

そこに座っても、よし子の気配を感じることさえなかった。

―よし子……

―どこにいる…… 

―伯父さんに連れられて帰ったのか……

―ずっと一緒に居たいと言ったのではなかったか……

―海を見ていたいと言ったではないか……

両手で頭を抱え、動くことができなかった。

 

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