まあ、私ったら被った姿を友人に見せた後、ほめられて得意になり、そのままお店に忘れていたようだ。あるいは落としていたのかもしれない。もう恥ずかしくて顔から火が出そうだ。でも、わざわざ届けてくださったおじさんの親切が何より嬉しく、心から「ダンニャバート(ありがとう)」と伝えた。
スワヤンブナートでいっしょに遊んだ兄弟に、ネパール語でお礼が言えなくて後悔した私たちは、ホテルに帰ってからネパール語の「ありがとう」を調べておいたのだ。役に立って嬉しかったが、いつもこんな親切な人ばかりとは限らない。友人と二人、今後忘れ物をしないよう互いに気を付けることを誓った。
今度は、ずらりと並ぶお面に惹き付けられる。手のひらサイズのものが多く、壁飾り用だ。ざっと見たところ、私が手に入れたい伎楽の登場人物のお面はない。しかし、見ているうちに、象の頭を持つ神ガネーシャ、太陽の神スーリヤと月の神チャンドラのお面が妙にかわいい。鮮やかな色彩とちょっとポップなデザインだ。
続いて、さらにポップな絵柄のカレンダーが並ぶ。これはミティラー画といって、ネパール南西部のミティラー地方の女性が描いているものだという。雨乞いや豊作、健康などを祈って、もともとは壁や床に描かれていたもので、およそ三〇〇〇年の歴史を持ち、母から子へと引き継がれている。しかも、そのカレンダーは手漉き和紙でできていて、色味も手触りも独特の風合いだ。
それなのに、六枚綴りでも八〇ルピーほどで買える。いくつかの店を回ったが、結局初めに入った店でお面もカレンダーも購入した。一度ホテルに帰って荷物を置くことにした私たちは、まだ歩いていない道を歩いた。
カンティ・パトという大きな通りでは、音楽隊のパレードに遭遇。道路のあちこちに警官らしき人々が立ち、ものものしい雰囲気だ。おそらく王宮までパレードするのだろう。まさかこんな生演奏の行進に出合えるとは思わなかったので、すごく得をした気分になった。
クマリ様にちょっぴり感謝。
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