俳句・短歌 句集 母娘 2020.08.24 句集「地雷の如く」より三句 地雷の如く 【第7回】 馬場 美那子 母ひとり、娘ひとり、恋たくさん。 「おひとりさま」とその母の13年を綴るドラマティック川柳句集。 自由奔放にたくさんの恋をしてきた「おひとりさま」な娘。たったひとりの肉親である母は、夫に先立たれて長かった。 ほかに身寄りのない二人なのに、喧嘩して、諦めて、また喧嘩して。恋はすれども、母は捨てられぬ。母への情愛と異性への恋心との狭間で揺れる心情が、おかしみと哀しみを込めながら五七五の17音字に込められた「絆」の物語。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 レールには乗らぬ枕木ばらんばらん 影絵ではあなたにほれているポーズ どの辺にいるのよ二十三回忌
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『タケル』 【第3回】 中村 東樹 【日本神話】立派な大人。なのに仕事もせず、朝から晩まで大声でワーワー泣いているだけ。理由は「母に会いたい」から!? トモミは小碓と長老の話を聞きながら驚いていた。いつも二人で遊び回っている小碓がそんな大変な人になるという。爺の言葉は決して嘘ではないことを知っているのだ。長老は続けて言った。「今この時代にも世の中のことを詳しく知っている人たちがたくさんいます。その人たちに直接会い、教えを請うことにより、新しく正しい知識を身につけていただきたい。そうすれば、この国や民に何が必要なのかわかるようになります。この国を…