第二章

虫が付くほど可愛い少女

たかちゃんは、自分で捕まえた虫を体に付けようとしたが……。

体から虫が飛んで逃げて行く。虫を付けて歩きたいのだが、中々上手く行かない。どうしてたかちゃんは、そんな事をしているのか……。

それは、父親の言った、

「悪い虫は駄目だけどな、女の子は虫が付くぐらいがいいぞ!」

その父親の言葉に、たかちゃんはショックを受けたからだ。その後、たかちゃんは、体に付く良い虫を探しているのだが、中々良い虫は見付かる物では無かった。

その後、たかちゃんが、中学生になる頃に、自分に近寄って来る虫の意味が分かる事になったが……。

たかちゃんは、生まれた時から特別な子だった。

彼女の名前は、高貴な人が付けてくれたという、母方の偉い人の書の文字で、「親に孝」と書かれた掛け軸が大元のようなのだが……。

超常現象の体験

たかちゃんの不思議な経験は、他の人以上に感受性が強いためか、それとも人一倍強い好奇心が、そうさせるのか?

何はともあれ、それで彼女は、見えない物を見て、時に幻想を抱き、現実とは思えない幻想を体験した。人とは違う考えや感覚が有った事で、それ故に心霊現象を体験した物だ。

それらは、幼いある頃に、人に見えない物が見え、その声を聞いたり、人に聞こえない音が聞こえたりという事だった。

幼い子供の感覚が鋭過ぎる所為か、超自然的な何かを感じる事ができるという、子供は、大人よりも視力も聴力も良く、また方向感覚も鋭いとされている。

加えて昔は、林や森が多く有り、昼間でも薄暗く、更には不気味なくらい、月明かりの無い夜中は、街灯も何も無いために、真っ暗闇で何も見えない。

そこに人工的な線路や電車が通っていれば、無意識に見て仕舞う。深夜の線路の上でかりん燃え盛る火輪、鬼火を見たり、人魂が長く尾を引き山の中に消えて行く所も見た。

たかちゃんは、それで一時期、夜のトイレに行けなくなった。極め付けは、まだ生きているお婆さんの魂が、何日か前に漂うのを見た事だった。あれは見た者だけにしか、恐ろしさは分からない。幼い頃だけに存在する。

その特殊な感覚で、たかちゃんは、自分でも困った事も有り、不思議な体験をして素晴らしい物が見えたりもした。

 

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