第一章 元気になるってどういうこと?
精神疾患と薬について
昔の主治医が、薬は飲んでも飲まなくてもいいけれど、サプリメントのような感覚で飲んでほしい、と言っていました。薬は極力飲まないけれど、サプリメントは積極的にとる人は案外多いです。
なぜかといえば、いつまでも健康で元気でいたいからです。医薬品である薬はサプリメントよりも厳重に安全面や効果の面でデータや実験により保証されたものです。だから、もっと薬を信じて飲んでもよいと思います。
薬を処方してもらう時に大切だと私が思うのは、自分の今の症状をなるべく正直に、良いことも悪いことも主治医に話すことです。私の友人に話を聞くと、なぜだか主治医には、良いことか悪いことかのどちらかしか話せなかったり、人によっては何も言えなくなり、本当の今の状態を伝えられない人が多くいます。
そうなると自分に合った薬はもらえず、症状も悪くなっていきます。そして薬や主治医への不信感からますます悪循環になって、なかなか症状が改善されない場合も多くあります。
薬についても、自分の身体の状態についても、良いことも悪いことも困っていることも、自分の願いや考えも話した上で、主治医と相談しながら薬と付き合っていくことが大切だと思います。
依存症について
依存症といわれると、こわいイメージがありますか? 依存症には薬物依存やアルコール依存など、あまりいいイメージがありません。
しかし依存自体は人間であればあたりまえのことです。赤ちゃんは、ほぼ大人に依存して成長します。また老いた時も、多くの人は何かしらの人やサポートに頼って生活しています。
一人で生きているという人も、何かしらの言葉や本、存在に支えられながら生きていると思います。では依存症と呼ばれるものは、何が問題で病気の1つとされているのでしょうか。
依存症は、薬物やアルコールの他にもギャンブル、買い物などがあり、人への依存も程度を超すと依存症と呼ばれます。スマホなどが手放せない人も程度を超すと、ネット依存症などと呼ばれ、治療の対象になります。最近ではたばこも依存症として医療機関での治療があります。
他にも治療の対象にはなりませんが、毎日コーヒーを飲むことが日課になって、コーヒーを飲まないと落ち着かない人も、私から見れば立派なコーヒーやカフェインの依存症だと思います。
依存症は、その行為が自分の意志ではやめられなくなり、自分自身の身体や社会的地位、財産を脅(おびや)かしたり、他人にまで迷惑をかける状態をいいます。
つまり、お酒が好きで、毎晩お酒を楽しく飲んでいることは依存症といいませんが、お酒がなくては眠れなくなったり、イライラしたり、人からお金を借りたり暴力をふるったりする、あるいは身体を壊してまで、お酒が止められない場合は依存症といいます。