いやいや違う……「危険ドラッグに指定すべき」と提唱する医師もいる、どこでも買えるあの「黄と黒と銀色の缶」ではない。

そう、私がお勧めするのは筋トレである!

とりあえず、何も考えず、筋トレする!

それだけで、あなたのいま抱えている不安は吹き飛ぶのである。

 

アルコール度数が高くて安価でどこでも買えるあの缶も、嫌なことは忘れられるだろう。

しかし、それと同じくらい筋トレは、安価に手軽に始められる。

自体重トレーニング(自分の体重を使ったエクササイズ)なら、自分の身体と畳一畳のスペースがあればいい。始めれば、将来の不安や社会への不信感なんて、ぼやけてくる。そして、終わった後の心地よい疲労感から夜はぐっすり眠れるはずだ。

一時的に、最高の「逃避」を体験できるのである。

「それだけ……?」

と不満に思うかもしれない。だが、それだけでも十分ではないか。

今あなたは「不安」なのだ。それから解放されることで、次を目指せるのだ。

「そんなに、筋トレには救いがあるのか……」

と期待させてしまったところで、オチもある。

少し前、「全ての不安や不満は筋トレで解決できる」と謳う本がベストセラーとなった。しかし、本書はその主張を真っ向から否定する。筋トレで全て解決できるというのは間違いだ。筋トレで金が稼げるか? 筋トレで病気が治るか? 筋トレで人間関係が上手くいくか? 筋トレで幸せになれるか?

これら全てを筋トレで解決するというのは無理がある。

しかし、「筋トレは万能ではない」と分かった上で筋トレする、そこで得られるものは確かにある。全部解決すると期待して取り組むから続かないし、ガッカリするのだ。全部は解決しない。けれども筋トレこそが救いだ。まずはそれを信じて欲しい。