俳句・短歌 歴史・地理 歌集 古事記 2020.08.23 歌集「古事記物語・異聞」より三首 歌集 古事記物語・異聞 【第7回】 松下 正樹 私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ? 日本人の原像がまざまざとよみがえる。 日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。 日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。 王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 地下ふかく黄泉の国あり亡き人の 往かねばならぬ掟ありけり *黄泉の国 死者の魂が行く所。 帰れない掟にしたがひ伊耶那美は 黄泉の国へと旅立ちゆけり 伊耶那岐はありし日の妻の面影を どうしても忘れられなかった
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『白い陥落~看護学生あずみの事件簿 2~』 【第5回】 叶浦 みのり 仕事場へ向かうと、「あれ……? 真琴?」 病院の待合室には、約束をすっぽかした友人の姿が... 制服を返し終わり、事務所を出て、あずみは昨日までの仕事場だった一般外来病棟へ向かった。眼科はそれぞれの診療科の中でも一階のフロアの一番奥まった位置にある。診療科の位置は、中央処置室、外科、整形外科、内科、耳鼻咽喉科と続く。そして眼科だ。二階にも診療科はあり、産科婦人科や小児科、泌尿器科などがあった。眼科に向かう途中にほかの診療科の前を通りかかることはこれまでに何度もあった。あずみがそこで知り合い…