「カーになった者は、皆、元々自分たちが何者なのか分からない。記憶を吸う事でしか生きれなくなり、多くの記憶を集めさせられている。集めた記憶は太陽の国へ運んでいたが、開眼の実を食べた人間の記憶を吸ったカーが、我を取り戻し知性が上がった。更に開眼の実の記憶を直接吸う事で、喋れるようになった」
ラ・エンカは恐る恐る聞いた。
「ならば、われらの記憶は吸わないか?」
オンゾは黙ったまま強く頷いた。
ならばと、ラ・エンカと二人の部下は、エデンの花、全部に息を吹きかけた。
「これで全ての花に実が生ろう……」
そう言ってそこから去ろうとすると、オンゾが手を差し出し、小さな種をラ・エンカに渡して言った。それは自分の顔に生えていた種の一粒だった。
「それを食べれば、私達と繋がる事が出来る。必要な時はいつでも呼んでくれ」
ラ・エンカは、その種を受け取るとその場を去った。しばらく歩き開眼の実を食べようとすると、剣がさやの中で光っている事に気付いた。ラ・エンカは剣を抜き、天にかざすと辺りは光り輝く。
「剣が光るのは、これで二度目か……」とラ・エンカは呟いた。
一方、それぞれ宝玉を持ち、分散し剣を探して旅をしている七人のシーバスの部下達は、それぞれの玉が光り輝き始めると、一つの光線となって彼方へ伸びて行き、剣の所在を示した。
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