エデンの実

ラ・エンカは、過去を思い出しながら山道を登っていると、導き蜂が動きを止めていた事に気付かなかった。ふと見るとガラス容器の底で羽を休めていた。

目の前を見ると、そこには小さな池ほどの広さの地面に背丈の低い花が地面を覆いつくすように咲いていた。

「着いた……」

ラ・エンカらは、花をよく観察し、記憶で見たエデンの花と同じものだと確信した。しかし未だ実は生っていなかったので、ミヤンに教わった通りに一本の花に向け息を吹きかける。

それから三日経った日の朝、実が大きく実り始める。花の実を観察していると、近くでざわつきを感じ、見るとカーが花畑の周りを囲み集まっていた。その中で一匹のカーが手を差し出し、『ソレ・ヨコセ』片言の声が頭の中で響いた。ラ・エンカは剣を抜くとカーに向けて大声で「去れ!!」と叫んだ。

カーは、その剣から出る異様なオーラを感じ、一歩下がった。カー達がたじろいでいると奥から異彩を放つカーがラ・エンカの前に現れ突如喋り出す。

「その実が欲しい、分けてくれないか?」

その言葉は、人が話す言葉と何ら変わらなく聞こえた。

そのカーは野生のカーのリーダーで、名前をオンゾと言った。オンゾはその実は自分では作れなく、分けてくれるのであれば言う事を聞くとまで言ったのでラ・エンカは聞いた。

「何故そんなに実が欲しいんだ?」

「その実を食べると、自分の知性が上がり喋れる様になった。もっと知性を上げ、元の自分を探し出したいんだ。自分を思い出したいんだ」

そうオンゾは答えた。ラ・エンカは元の自分?と言う所が気になっていると、オンゾは続けて言った。