第一章 新しい家族

家 族

「そうよ、お姉ちゃんたちもちゃんと考えているからね」

千恵姉ちゃんは背筋をぴんと伸ばしておせち料理の方を見ながら言った。二人にそう言われても僕はなんて答えていいかわからない。お兄ちゃんが横から肩を叩いて「ヒロ頑張れよー」とからかった。おなかがいっぱいになって箸を置いたら由美もおなかいっぱいと言って、テレビをつけた。

「お義父さんと昭ちゃんはまだ飲むでしょう」おつまみを別の皿に分けて、お姉ちゃんは片付けを始めた。

「あっ、忘れてた」お姉ちゃんは大きな声で言ってから、「これあげないとね」と言って僕たちにお年玉のポチ袋をくれた。お兄ちゃんと二人からだ。おばあちゃんが部屋に戻ってお年玉を取ってきて「お祖父ちゃんと二人から」と言って僕たちにくれた。由美は顔をくしゃくしゃにして喜んだ。毎月小遣いをもらっていてもやっぱりお年玉は嬉しい。

翌日早起きして、四人で福袋を駅ビルの中のお店を回って買って、お祖父ちゃんたちにお土産を買い、混雑してるレストランで食事をして帰って、一つずつ福袋を開けてみんなで騒いだ。

みんなで買い物をしたり食事したりするときは、いつも千恵姉ちゃんがお財布からお金を払っていた。昭二兄ちゃんは全然気にしていない。千恵姉ちゃんは今年の正月は僕たちを楽しませることをずっとやってくれていた。

暮れから正月に家の手伝いをして、お祖父ちゃんの話をたくさん聞いて、この家族の真ん中にお祖父ちゃんがいて、僕は家の大人たちに遠慮したり、気を遣ったりしないで話せるようになった。