第一章 新しい家族

家 族

僕たちが千恵姉ちゃんたちに引き取られ、お祖父ちゃんとおばあちゃんが一緒に暮らしているけど、ここにいる六人は、一年半前までは三つの別の家族だった。今は一緒にいるのが当たり前になっている。

寒い夜道を歩いていても安心していられるのは当たり前のことではなくて、千恵姉ちゃんがいて、周りに昭二兄ちゃんやお祖父ちゃんたちがいてくれるからだ。

お父さんたちと行った初詣を思い出してせつない気持ちにならないのは、千恵姉ちゃんたちが近くにいてくれるからだ。

角を曲がると通りを歩く人が見えた。遠くに、そこだけ明るく道路まで白く照らしている場所がある。そこが熊野神社だ。

神社の鳥居が見えてくると、たこ焼きや焼きそば、お好み焼きの屋台が出ている。こんなにたくさんの人が初詣に来る所だなんて知らなかった。神様は僕たちのことをちゃんと覚えてくれるんだろうか。

お姉ちゃんから五十円玉をもらって、お賽銭(さいせん)を投げて手を合わせ、本当は千恵姉ちゃんや昭二兄ちゃんやお祖父ちゃんたちに感謝したいのだけど、両親を亡くしても今こうやって新しい家族に囲まれている幸運に感謝することにした。幸運はたぶん神様の担当だろう。お礼を言っておけば神様に嫌われることはないと思う。

お参りしてからみんなでおみくじを引いて、お祖父ちゃんはお店用に破魔矢を買い、お姉ちゃんが僕たちにお守りを買ってくれた。

みんなで固まって、ゆっくり帰り始めると、昭二兄ちゃんが後ろから追い付いて、みんなの口にたこ焼きを一つずつ入れて回った。