マフィアの人生なんて高が知れている。麻薬を売り、武器を売り、敵対マフィアを葬る事だけだ。それがマフィアの仕事だ。

僕は、そんな物騒で心に黒い塊が出来る仕事をこれから熟す事を考える事から、頭を背けたかった。どうしてもと言うのは、僕がマフィアを継がなければならない事だ。

僕はブラッドリーファミリーのボスである、ゴウデン・ブラッドリーの長男で、十五の時にはもうヤクを捌いていた。

最初は好く取引する人たち相手だったため、ブツを指定した場所に持っていくだけの簡単な仕事だった。僕はファミリーの言った通りに仕事を熟した。

それが父親の僕に対する教育であったし、いずれボスとなる僕がファミリーに馴染む様にと言う愛であった。

僕は学校は中学までで、学は無く、そもそも両親の教育がマフィアを継ぐためのものであったから、当然他の仕事に就く事は出来なかった。そもそも考えもしなかった。

だが、十九となった今では、鉄道や商社など、一般的な職業に就きたい。そして妻を貰って、ごく普通のありきたりの幸せを手に入れたい。

愛する妻との子がいて、三人で生活できたらこの世は楽園なのではないかと思う。僕はいつもそんな妄想ばかりしていた。

 

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