2021年、片頭痛の予防のための新しい注射が日本でもできるようになりました。片頭痛の原因に深く関わる神経ペプチドCGRPに関連する抗体の薬で、月1回の注射が基本です。
この注射を受けた多くの患者さんから頭痛日数が約半分に減り、頭痛のつらさから解放され、心配がなくなった、生活の質が向上した、という嬉しい声を聞いています。
頭痛があるのが当たり前だった方々が、頭痛から解放され本当の自分を取り戻し活躍できるように、つらい頭痛で悩んでいる頭痛もちの方に、1人でも多く新しい治療の選択肢があることをお知らせしたくてこの本を書きました。
当たり前、仕方がない、と諦めてしまうのはもったいないと思いませんか?
大切なあなたの時間、あなたの家族との時間を取り戻し、明るい未来に向けて第一歩を踏み出しましょう。
2024年11月 山王直子、間中信也
第1章 片頭痛の脅威~その正体とは
1 日本の4人に1人が悩む頭痛
頭痛は誰しも一度は経験したことがある症状です。風邪をひいたとき、お酒を飲みすぎた翌日に二日酔いになったときなどで、つらい思いをしたことがある人は少なくないでしょう。
ところが世の中にはつらい頭痛があるのが当たり前になっている人がいて、週に1~2回とか、人によってはほぼ毎日という人がいるのです。これを慢性頭痛といいますが、社会的にも損失をもたらす大きな問題といわれています。日本人では4人に1人が頭痛に悩んでいるのです。
中でも片頭痛は個人の生活に及ぼす影響が大きく、日常生活に支障が出やすい病気です。片頭痛という言葉から軽く考えられがちで、本人も「ああ、また頭痛が来たか。鎮痛薬飲んで会社に行こう」「家事をしなければいけないから、子供の保育園があるから、休んでいられない」と市販の鎮痛薬に頼る方がたくさんいます。