一樹と交際していく中で、中学に引き続き高校にも行けていないことを、私は一樹にはちらっとしか話さないまま高校に進学した。

一週間の登校の後、再び不登校になり休学になるまであっさりといったのには理由がある。私の家出事件があったからだ。

高校に入学してすぐの段階で、私は学校へ行くことが怖いと感じてしまっていた。

あの日もとりあえず怯えながらもいつものように学校へ行く支度をし、もちろん行くつもりで家を出たが、途中で足が止まってしまった。

〈もう今日は行けない。なんとか行ったことにしてごまかそう〉と思った時、視界に駅が見えた。

そして気づくと、私は電車に乗って一樹のアパートへと向かっていた。

一樹は、学校があるはずの平日に、連絡もなしに突然アパートに来た私を見て「え、学校は? 制服のままどうしたの!?」と驚いていた。

この日は、とにかく夕方までに何事もなかったかのように家へ帰れば今日休んでしまったことはごまかせるだろう、という考えが前提の行動だった。

一樹はあえて学校や急に来た理由には触れないでくれた。

そして夕方、駅のホームで別れ際に「ちゃんと帰らなきゃダメだよ?」と一樹に言われた。

「うん」とは答えて別れたものの、電車に乗ってすぐだった。

帰りたくない。帰れない。もう学校にも行けない。もう嫌だ。もう限界だ。そう思った。

帰宅することはもちろん、学校のことなど、もうすべてに対し、心と身体が全力で拒否していた。

私は、とっさに一駅で電車を降りてしまった。