次にお前の状況について。
事故で。
顔面に結構大きな怪我を負って。
彼の自慢のご尊顔が台無しに。
ザマァみろ。
いや、でも本当に痛そうで。
結構洒落にならん感じで。
交通事故じゃないんです。
でも酷いです。
僕のドクターストップですね。いや、本物のドクターストップも入ってます。
止めどなく悲鳴が上がり続けるディスプレイ。その中には誰か心無い者の嫌がらせの末、危害を加えられたのではないかと疑う声もあった。僕はそれが目に飛び込んできた瞬間、心臓を鷲掴みにされた気がした。その蛮行には僕も辛酸を舐めさせられている。
自宅特攻、出待ち、嫌がらせメール、実家への突撃、様々な執着的な行為と攻撃。そして最近、それはお前にも及んだ。まさか、という思いがあった。そうなのか? 冷や汗が流れ、酸素が喉の奥で絡んで上手く吸いきれない、吐ききれない。言葉に詰まって喋れなくなった。
不自然に止まってしまった声に、ディスプレイ上では音声停止の声がちらほらと流れ始める。何か言わなくてはと頭を働かせるも上滑り、舌は乾いてしまって動かなかった。
その時、玄関の方で何やら物音がした。
立ち上がって部屋を出、そっと廊下から物音がした方を覗くと扉が開いており、ぞっとする。先ほどの蛮行の内容を思い出し、いよいよ警察を呼ばなければいけないと腰を引いて、いつでも部屋に戻れる体勢を取った。明かりのない廊下の下、玄関扉を閉めながら人影がこちらに向かってきていた。
その人は足を引き摺り、随分と歩きにくそうだった。