国民の期待を一身に背負ったロケット……。
二百万人に及ぶその星の国民の願いと祈りが一心に込められたロケットが飛び立った。必要な太陽光を享受し、生物ヒエラルキーを再構築することが目的である。
─宇宙戦艦はその星の千キロ上空に留まり、メロウ星にいる女王からの指示に従い任務を遂行している。太陽光を阻害するウロコ粒子の濃度を調整し、濃くしたり薄くしたりして第三番惑星の気温を管理している。
その戦艦から、女王の寵愛を受けた二匹の竜が暗黒の宇宙空間に飛び立った。
一匹はビロードの目と背びれ、もう一匹はパープルの目と背びれ。
二匹の竜は目的を果たすため戦艦から飛び立った。しなやかで長い胴体の前部と後部にはそれぞれ太く短い手と足。ごつごつした指の先には鋭い爪が伸びている。ウロコ状の模様が全身を覆っていて、背中にはヒレが揺れ動いている。先頭を行く竜の鋭い目が、遥か彼方の宇宙空間を移動している十機のロケットを睨んだ。
スピードを一気に上げた二匹の竜は、最後尾を目指し、弧を描き飛んだ。
そして徐々に距離を─間隔を詰めた。
純白のロケットの直ぐ後方に迫った。
先頭には一機の純白のフレームが高速で移動している。その後方の二列目には二機、さらに後方の三列目には三機、四列目に四機、計十機のロケットが宇宙空間を高速で移動していた。一糸乱れぬ正確な間隔取りでトライアングルになって編隊飛行中だ。
その星の科学の粋を結集したロケット。─文字通り運命を背負ったロケット。