▼スキンシップと会話がセックス復権の第一歩

反対に、優しいスキンシップが不足するとオキシトシン作用が低下します。女性の場合、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが月経周期に連動して交互に分泌量が増えたり減ったりすることで、精神的に不安定な状況が発生しやすくなります。この2つの女性ホルモンがストレスの誘因となる自律神経の交感神経と副交感神経に作用するからです。

ストレスとは、元気な「興奮」モードを刺激する交感神経が過度に優位となり、癒しの「やすらぎ」モードを促す副交感神経が過度に抑制されている状態です。こうしたストレス機序の中で、エストロゲンが副交感神経に、プロゲステロンが交感神経に、常に月経周期に合わせて周期的に作用することで、自律神経が不安定になりやすく、何らかの心身の変化に直面して、ストレスを引き起こしやすくなっているのです。

女性が、イライラ、不安、気持ちの落ち込みや不眠などの心身の不調をきたしやすい傾向があるのもこうした女性ホルモンの影響があります。そのうえにオキシトシンが低下すれば、パートナーのセックス要求に嫌悪感をいだいたり、不感症になったりするようになります。

一方、男性の場合では、スキンシップが少なくなると、後で詳しく述べますが、根底に存在しているテストステロンの征服的・狩猟的性格を促す作用がときにいびつな状態で前面に現れます。パートナーの気持ちを思いやれず、独断的、攻撃的な傾向をしめすようになったり、直接的なセックス行為以外のスキンシップに無関心になったりすることです。

今さら言うまでもなく、性器の合体行為だけがセックスではありません。セックス受難時代の今日だからこそ、日々の夫婦生活により一層のスキンシップと会話が求められています。

なぜなら、繰り返しになりますが、ともに夫婦間の愛情と信頼を育むスキンシップと会話が少なくなれば、男性の性欲は独りよがりとなり、女性の性欲は否定的なものにおちいってしまいます。これではセックス本来のコミュニケーション から遠ざかるばかりで、心身をいやすことも絆を深めることもできないからです。

セックスとは肌が触れ合う男女間の全ての行為のはずです。たとえ性器の合体行為が少なくとも、日々のスキンシップと会話を大事にする必要があります。それこそが、セックス復権の第一歩であり、今までにない愛情に満ちた心身の交流が育まれるはずです。

【前回の記事を読む】疲れた夫、面倒な妻――夫婦のスキンシップが結婚後次第におろそかになっていく現実的な理由

次回更新は1月3日(金)、20時の予定です。

 

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