「お兄ちゃん。ぼくもう検査いやだよ。もう終わりにしたい。だけどそれは怒られるんだ。ぼくは我が儘なのかな? お兄ちゃん」とかけるは続ける。

「水族館でくさふぐ見たいな。くさふぐのお目々可愛いんだよ。お兄ちゃんくさふぐ好きかな? お兄ちゃんぼくね、水族館ちゃんと連れて行くよ。お兄ちゃん水族館でぼくお魚一杯教えるしたら、良いかな?」

英良はかけるの夢を見た。それは微かに嫌な予感だった。

かつての毘沙門天の諫言が頭をよぎり鈍い頭痛がしてくる。

「この幼子の周りには不穏な気配を感じます英良様」

「不穏? 悪意と言うことか毘沙門天殿」

「御意、それも西洋の悪意や巨大な悪魔の影がちらついております英良様。もう猶予がありませぬな」

「魔の手がかける君に迫っているのか」英良は言葉を選び「かける君はもう亡くなるということか?」

「否、それは英良様の意志次第に御座います」

「意志次第とは?」英良は詳しく求める。

「英良様は刻をかけ過ぎに御座います。人界でいう時間を多く過ごしているので御座います。英良様は事態を先送りした結果、事を悪くしているので御座いませぬか?」毘沙門天は続ける。