「州立大学です、留学生です」と亜美が答えた。
「そう、どこの国から?」
「日本です」
「そう、わたしのところへ来た日本人はあなたが三人目よ。誇り高い勇者の民の末裔ね」
「えっ?」
その女性の言葉は耳を疑うような言葉だった。深いしわをさらにくっきりとさせながら、穏やかな笑顔で微笑んでくれた。
「どうしてそんなことを? 誇り高い勇者なんて……」
「あなたも同じね。前の二人もあなたのように驚いていたわ。あなたがたの祖先は、自分たちの誇りと家族を護るために命を懸けた人々、命よりも大切なことがあることをわかっていた人々……わたしたちの祖先もそうでした」
「えっ、日本が? どういうこと?」
「わたしたちにはわかっていたのよ、あなたたち日本もわたしたちの祖先と同じように争いに引きずり込まれて、立ち上がり、そして力尽きたことを」
「何のことですか? 戦争のこと?」
「そうです。あなた方の祖先は勇敢でした。あなたの名前は?」
「亜美です」
「そう、亜美、いい響きね。あなたの名前には意味があるはず。亜美、誇りを持ちなさい」
「ええ? でも日本はパールハーバーにアタックしたし、侵略戦争をしたから」
そう言いかけたら、その女性が亜美の言葉を遮るようにハグをしてきた。