あるお爺さんの1日

テレビは点けたままです。いつもテレビを消すと目を覚ますのでテレビはそのままにしておきました。お爺さんは、仕方がないので、一人でお茶をいれ、ゆっくりよく味わうように飲みました。そして、今日あったことを一つ一つ思い浮かべ、自分が年を取ったことを痛感しました。

朝から夜までの時間を何事もなく過ごすのは何と大変なことか。これから先、死ぬまでこの生活を続けることができるのか。気分が沈んでいきました。さらに今、自分の罹っている病気を思い出すとさらに気持ちが落ち込みました。高血圧症、高コレステロール血症、高尿酸血症、糖尿病、腎不全、緑内障そして白内障。

病気のデパートです。これらの病気はほとんどが親からの遺伝であり、80歳になれば仕方のないことなのかもしれません。薬の種類も多く、考えてみるとこれらの薬でやっと命を保っているのです。自分は生かされているのです。

お茶を一口飲み、嫌な気分を振り払おうと庭に目をやりました。シクラメンの2鉢ほどの花がしおれています。お爺さんは庭に出てシクラメンに水をやりました。葉に水が掛からないように、茂っている葉を持ち上げました。そこには若い白い茎がくるくるとサイクルを作り沢山並んでいました。