そう言うと有島は、名簿一覧のページを開いた。
「牡牛座って何月でしたっけ……?」
「ええと……4月20日から5月20日かな」
タブレットでネット検索しながら、鍛冶内が答えると、有島は三人の名前を挙げた。
「佐野くん、田村くん、山本くん……の三人」
「三人もいるのか……」
「そう言えば…………今思い出した。汐里ちゃんと山本くんが二人で一緒にいるとこ、学校で確か見たことある。5月11日生まれの山本蒼太(そうた)くんです」
「山本くん、山本くん……と」
鍛冶内は先ほどの顔写真のページに戻って、山本の写真を探した。
「あった、山本蒼太」
山本は、そこそこイケメンといっても良い部類の端正な顔立ちをしていた。確かに汐里がなびいても違和感がない感じの男ではある。髪の毛を少し立て気味にはしているが、千景が言っていた男の特徴ほど、極端ではない。あるいは卒業アルバムということで、教師から髪型の指導が入ったせいかもしれない。
「これ、写真撮らせてもらってもいいですか?」
「はい、ご自由にどうぞ」
鍛冶内はタブレットで撮った山本の画像を、すぐに千景の携帯に送った。千景だって、病室でスマホの写真くらいは見られるだろうと思いながら。
「山本蒼太くんなら、柳瀬町の建設会社に勤めてるはずですよ。確か秋川建設だったかな」
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