はじめに―プロローグ

本書は、著者が半世紀にわたる長い歳月をかけて、少年時代に描いた夢を叶えた自叙伝であり、夢実現への啓発書である。

著者が小学生の頃に思い描いた夢とは、「博士」になること。

この博士という称号は社会的地位と名誉の象徴として当時の子どもたちの憧れの的であり、私は少年時代に関心があった、京都を中心とした日本史研究をする為に、歴史学者「博士」になるという夢を描いたのであった。

博士になりたいと決意した時から熱心に勉学に励む目的となったのだが、そのための最短ルートと考えていた中高一貫校への進学を、家庭の事情で断念。この逆境をはじめとして、その後の人生においても、数々の出来事が起こった。

そして、夢を描いて宣言してから、殆どの期間は、夢実現には関係がないような展開が続いた。そして、その後の人生においても、夢に向かって一直線に進むことの許されなかった人生であった。

それでも、いつも前向きであり続けること、諦めずに努力すれば夢は必ず実現するモチベーションを保ち続けることを心掛けてきた。

この世に生を享けることのできなかった妹弟や、私が5歳の頃、命の危機に直面した怪我の経験から、いまここで生きていることそのものや、人生の過程で出会えた人々に感謝し、歩みを進めていく段階において、例えば少年時代に関心を向けた方向とは異なる進路を選ぶことになった高校生活においても、たとえ夢実現には遠のくような経験であっても、その後の人生に役立てる、何であれ人生に活かせないものなどない、無駄なことはないとの姿勢を貫いてきた。