診察室に入ると、さっそくメグ先生、うちの猫ハルを触りまくって、いっぱい話しかける。周りの椅子に座らせたあたしたちにも両親にもいろいろ聞きながら。
「犬のハルとは会わせてないの」って聞いて、
「ゴン・チャ、おいで」って呼んだらすぐに来た。大型犬と猫。チャチャはペタリと伏せして、その上にゴンが乗った。
「この子たちは私の子供です。犬猫もこんなに仲良くなるんですよ」
そしたらメグ先生、ハルの匂いを嗅いで、
「うん、シャワーは必要ないな」って、例のベビーパウダーが入ってる先っぽがシャワーみたいになってるボトルに手を伸ばして取って、ハルに、少し振りかけて、
「そうかそうか、いい子だな」って、丁寧にブラッシング。壁から出ている掃除機のホースで毛やパウダーが飛び散る前に吸う。ちょっと名人芸。
ハルの喉をさすって、「そうなのか、そうなのか」って、全身を撫で回す。いろんなところにカメラ当てて、
「モニター見てください。健康そのものですよ。あまりご覧になったことはないでしょうから」って、いろんな臓器を見せてくれた。
「でも猫は宿命的に腎臓を患うんです。オシッコが出にくくなったり。僕の友人が作ったそれ用のご飯もあります。あとでショップを覗いてみてください。こいつも食べてるんですよ」ってゴンを抱き上げ、「ほら、ハルだよ、これで友達だよ」って話してる。なんか、ほんわかする。
正直、ゴンは目も小さいし涙目、ちょっと不細工で、しっぽもお団子みたい。だけど、みんなの足元にすりすりしてくる子犬みたいな子。カナママったら、「ぼーや」と言って、抱いて放さない。ニャーとも言わない。カナママのほっぺにスリスリしてオッオッオッって言う。それを聞いて、みんな大笑い。
看護師の琴美さんが、「なかなかニャーって言わないんですよ」と言う。カナママ、カナパパに、「ねえ、猫もいいわね」って言ったら、すかさず、メグ先生、「シェルターにもいますから、是非見てください、犬と猫の組み合わせもなかなかいいですよ」って。
そのうちハル、先生に顎さすられてゴロゴロ言い出す。
「でも、あやちゃん、爪見て。少し巻き爪になってる。歩く時に、コツコツ聞こえない? 爪切りしてる?」
「最近は嫌がって噛みついてきて」とパパが弁解したら、メグ先生、腕まくりして、ハルの足から爪出して、
「いいかい? すぐ終わるよ。お父さん、こうやってよく切れる爪切りで、いい子だって言いながら素早く切る……でもご機嫌の悪い時はどうしてもね」 ハル、先生の腕に噛みついてる。それなのにメグ先生、何でもない顔して、素早く切っていく。切り終わった後、ハル逃げ出そうともせず、先生の腕の中でうっとりして、先生の腕舐めてる。
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