一章 自我が目覚めるお年頃

十二 みかどは不良のたまり場なの?

みかどに毎日のように来ていたのが、中学三年生の小谷くん。

彼が買うのは、不二家の缶入りミルキー。店の冷蔵庫から一缶出して「おばさん、これください」とお金を払っていると、仲間もやって来て、ブタメンやあんこ玉を食べながらお喋りしていきます。

小谷くんはヤンチャな評判が立っているようでしたが、彼を両親はとても可愛がっておりました。同級生らと楽しく喋っている様子を見ていると、普通の中学生にしか思えませんでした。

しかし、毎日買いに来ていた小谷くんや仲間たちも、二日前からみかどにぱったり来なくなりました。

「なんで今日も大中(大島中学校)の子どもたちが来ないんだろうねぇ」と両親は首を傾げていました。

「そういう日もあるわよ……」と私は言いましたが、

「小谷くんたちに何かあったんじゃなきゃいいけどねぇ」と母は心配していました。

小谷くんがお母さんと一緒にみかどに来たのは、そのすぐあとでした。

「おばさん……うちの学校の生徒がみかどに出入りしてはダメだということになっちゃって……」「本当にすみません」と二人して謝るのです。

両親は顔を見合わせました。