ぼくとだいちゃんは、『三びきのやぎのがらがらどん』というグループに入りました。ぼくは二ばん目やぎのがらがらどんの役で、だいちゃんは、あく役のトロルをやります。ひとりでもいないとできないので、みんなが力を合わせるチャンスなんだと、みはる先生が言っていました。冬休みがおわるまでに、セリフをあんきしなければならないのでたいへんですが、がんばります。
十一月二十四日 結城まこと
三年生の二学期は大忙しだった。進級したばかりの頃に比べると皆それぞれに自我が育ち、個を意識し出した分だけお互いに喧嘩が絶えなくて、男同士、女同士、時には男女混じっての揉め事が多い一年だった。けれども僕らはそのたびに皆で話し合って、三組のルールを自分たちで作っていった。
クラスがまとまったと思ったら今度は勉強が少しずつ難しくなっていって、その上生活面ではけじめだとか、集中力だとか、責任感を持つことの大切さだとか、美春先生も僕らの成長に合わせてどんどんハードルを上げてくるから、のんびりしている暇がなかった。
だけど、僕らは一生懸命先生の出してくる課題に追いつこうと競い合った。頑張ることが、素直に楽しいと思える純粋な日々。毎日がきらきらしていた。
「みんなー、帰ったらこのプリント必ずお家の人に見てもらってね。来週の参観のことが書いてあるプリントだからね」
冬休みももうじきというある日の帰りの会に、美春先生はそう言ってリコーダー合奏のことが書かれたプリント用紙を配ってきた。各々の班で発表するアンサンブルの合奏を、今度の参観日に保護者たちに披露するのだ。
そのプリント用紙と一緒に学習道具をランドセルにしまおうとした時、教科書が何かにつっかかった。何だろう、と中に入っている教科書やノートを全部出してみると、底の方には、くしゃくしゃになった封筒があった。