僕らはお互いに黙ったまま、しばらくの間、ウサギがもぐもぐとキュウリを食べているのを見つめていた。少し冷たい秋風が吹いて、紅葉の終わった白樺の木が、かさかさと乾いた音を立てた。キュウリがなくなったことに気付いた僕は、ウサギ小屋の側に生えていた草を抜いて、金網越しにいるウサギたちにやりながらだいちゃんに話しかけた。「キュウリよりも美味しくないかもしれないけど、この草もウサギの好物なんだよ」夢中で草を…
[連載]ぼくらの風船
-
小説『ぼくらの風船』【第8回】美山 よしの
小学生二人のぎこちない仲直り。仲直りをした後、放課後に二人でおやつを食べていると、突然涙を流して...
-
小説『ぼくらの風船』【第7回】美山 よしの
お父さんは、手紙を通してたくさんのことを教えてくれた... ぼくをいじめるだいちゃんの昼休み
-
小説『ぼくらの風船』【第6回】美山 よしの
自分のことを「チビ」と言われても我慢していた。でも、妹のことを「バカ」と言われたのには我慢できず…
-
小説『ぼくらの風船』【第5回】美山 よしの
僕が何か大きな壁を乗り越えたような達成感を感じていた矢先、あの事件は起こった
-
小説『ぼくらの風船』【第4回】美山 よしの
「これは、弱虫の手紙だ」お父さんへの手紙。格好悪いところは見せたくない
-
小説『ぼくらの風船』【第3回】美山 よしの
小学六年生の時、お母さんが再婚。叫んで暴れるだいちゃんを…
-
小説『ぼくらの風船』【第2回】美山 よしの
四月生まれのだいちゃんと早生まれの僕。二人で食べた真冬のアイスは最高!
-
小説『ぼくらの風船』【新連載】美山 よしの
中学にあがってから、親友との距離が離れていくような気がした…。