久しぶりに来た空き地には、太いロープが張られていた。大きな看板があって、そこには、「マンション建設予定地につき立ち入り禁止」と書かれてあった。読めない字がたくさんあったけれど、もうここに入ってはいけないんだということは僕にもわかった。人気のない空き地は、がらんとしていて静かだった。あのブロックの椅子も、誰に運ばれたのか、もうなかった。しばらくぼんやりと、僕は空き地の前に佇んでいた。西の空には大き…
[連載]ぼくらの風船
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小説『ぼくらの風船』【第10回】美山 よしの
これでもか、これでもかと辛い現実は牙を剝いてかかってきて――心を揺さぶられ荒れる姿は痛々しくて悲しい…
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小説『ぼくらの風船』【第9回】美山 よしの
何だろう…「あっ」そこには、くしゃくしゃになった封筒があった。もうずいぶん前に届いていたお父さんからの手紙だった。
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小説『ぼくらの風船』【第8回】美山 よしの
小学生二人のぎこちない仲直り。仲直りをした後、放課後に二人でおやつを食べていると、突然涙を流して...
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小説『ぼくらの風船』【第7回】美山 よしの
お父さんは、手紙を通してたくさんのことを教えてくれた... ぼくをいじめるだいちゃんの昼休み
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小説『ぼくらの風船』【第6回】美山 よしの
自分のことを「チビ」と言われても我慢していた。でも、妹のことを「バカ」と言われたのには我慢できず…
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小説『ぼくらの風船』【第5回】美山 よしの
僕が何か大きな壁を乗り越えたような達成感を感じていた矢先、あの事件は起こった
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小説『ぼくらの風船』【第4回】美山 よしの
「これは、弱虫の手紙だ」お父さんへの手紙。格好悪いところは見せたくない
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小説『ぼくらの風船』【第3回】美山 よしの
小学六年生の時、お母さんが再婚。叫んで暴れるだいちゃんを…
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小説『ぼくらの風船』【第2回】美山 よしの
四月生まれのだいちゃんと早生まれの僕。二人で食べた真冬のアイスは最高!
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小説『ぼくらの風船』【新連載】美山 よしの
中学にあがってから、親友との距離が離れていくような気がした…。