第二章 調査1、調査2、お手本は自衛隊

「そうか、やっぱり衣食住に一切お金が掛からないって大きいんですね、お金を貯めるには」と桜田が言うと

「そりゃそうですよ、それまでの私なんて衣食住に働いたお金を全部と言っていいくらい注ぎ込んでいましたから。特に家賃は高かったなー」と木本がそれまでは働いたお金をほとんど衣食住に注ぎ込んでいたと明かしてくれた。それを聞いた桜田が

「失礼を承知の上で、お伺いしても宜しいでしょうか?」と予め振っておいて

「せっかく任期制自衛官として頑張ったのに何でまたキャバクラ嬢に?」と剛速球をかましたのだ。これに対して暫く考え込んだ後

「……うーん、あのめちゃくちゃ校則の厳しいお嬢様学校、穿く下着の色まで決められている様な、強いて例えればそんな学校を晴れて卒業できた様な解放感!……

あっ、そうだ! 今風に言えばブームのサウナで自分のギリギリ限界まで暑さとうっとうしさと戦った後、そのサウナを出てプライベートビーチの白い砂浜と澄み切った空と透明度バツグンの海にスッポンポンで飛び込んでクールダウンした様な解放感と達成感を味わったら、もう一度、生まれ変わった女性として無性に輝いてみたいという衝動が沸き上がってきたの」とその時の心境をエッセイスト顔負けの表現で語ってくれた。これに対して桜田は

「任期を延長しようとは、微塵も思わなかったのですか?」と質してみた。

「全然。私にとって一念発起して入隊した自衛官時代は、普通の人でいえば懲役刑の様なもので、一日でも早く娑婆に戻りたいという一日千秋(いちじつせんしゅう)の思いで過ごしていたから、任期延長なんて考えもしなかったわ」と任期の延長について語った。続けて