3
巨大なビルのような旅館。受付で貴之が話をすると支配人という偉そうな人が現れ、藁葺き屋根の貸し切りの一室に案内された。
畳の部屋には大きな年輪の丸い机と家紋入りの座布団があった。
瑞希が気分が悪いと言うので急遽布団を敷いて瑞希を寝かせた。
茜「創。血を採取するわ。腕を出して」
創はセーターを脱いで下着の腕もとをめくって準備をする。
ボールペンくらいの採取器で血を採るとそのまま瑞希に注射する。
創「母さん。拒絶反応とか無いの?」
茜「あなたは特別なのよ」
瑞希は眠っている。
貴之「……ありがとう。ありがとう」
涙を流している。
茜は考え込んでいた。
4
8歳でお母さんとお風呂には入りづらい。
創は貴之とお風呂に入った。
大きな露天風呂は石で囲ってあり苔が茂っている。
松の木が植えてあり巨大な灯籠には明かりが灯っている……ああもう夕暮れだ。
創「おじさんはお母さんとどのようにして知り合ったの?」
貴之「昔、東北で大地震が起きてな。斉藤茜さんはその時の被災者だよ」
創「瑞希はどのような症状なんですか?」
貴之「瑞希が3歳の時な。東北震災の時運悪く福島に居て逃げ場が悪くて放射能の風に当たった。この子はチェルノブイリ・エイズだよ。免疫を作る細胞自体がガン化されてる」
創「僕の血をどう使うの?」
貴之「君の血は拒絶反応が無い。そして強い。瑞希の免疫細胞の代わりに君の細胞が病気から守ってくれるんだよ」
創「僕、体力ないんだけどな」
風呂をあがると茜と瑞希が浴衣姿で準備していた。
瑞希は可愛く飛び跳ねとても元気そうに見える。
5
アルゴス・ウイルスは哺乳類に感染する。
身体中に目玉や臓器の生えた子猫が居たが親猫はどう対応したらいいかわからずにいる。
藤本健志郎は子猫を親猫から取り上げると、哺乳類の野生動物は激減するだろうなと思いながらゴミ箱に捨てた。
ウイルス研究としてアルゴス・ウイルスは面白い研究対象だったが繁殖力で手に余る。
……斉藤茜。お前は何をしてる?