ロケット

おはよう。悲しい夢を見たの?

おはよう。どうして?

泣いていたから。

悲しくない、優しい夢だった。

今日もテレビには昨日と同じニュースが流れている。

私はスマホを開き、お揃いに作られたような友達の思い出を見る。

ここでも置いてきぼりにされてしまう気がして、

無理にでも視界に蓄えるために次から次へとスクロールしていく。

終わりもわからず機械のように動かしていた親指が突然、

親しい友達に反応して止まった。

親指が感知したのは、将来の不安が綴られた緑色のSOSだ。

怖い。

死にたくない。

長文の中の二行は、それ以外の感情を持たない純粋な思いであることは私にもわかった。

しかし、壮大なSF映画の感想文を読み終えたようで、

私たちが迎える終わりへの現実味をより薄くしていく気がした。

「隕石本当に落ちるんだね」

手持ち無沙汰になった心を、

最近私の前に現れたふんわり甘い匂いのする真っ白な宇宙人で紛らわす。

「最後の日、何してると思う?」

宇宙人はテレビに食いついたまま私に聞いた。

「何してるかな」

「誰といると思う?」

「誰といるだろう。一人かな」

「かわいそう」

「うるさいな」

「怖い?」

「君は?」

と、宇宙人に聞く。

「怖いよ」

と、なんだか美味しそうな宇宙人は答えた。