私が脳内会話をしていると、何やら変な顔をしていたらしく、裕子に聞かれてしまった。

「どうしたの洋子? お腹空きすぎて調子悪くなった?」

「ううん、疲れただけ。早くお昼にしよ」

顔を横に大きく振り私は答える。

少し歩いて行くと、橋の近くにお洒落なお店とは言い難いが、窓も大きく中の広そうな所でお昼にすることにした。

中に入ると、花火の時間にはまだまだ早いせいか、空いている。各々座ると注文よりも聞きたかった事を先に尋ねてみる。

「あの、すみません、近くにオルゴール館があると思うのですが、ここからどの位ですか」と裕子。

「そうどすなぁ、ここを右手に出はって二、三百メートル行かはった左側だと思いますえ」

「有り難うございます」

「何の、ええですよ。注文決まりはったら、ブザー押しとくれやす」

店の人はそう言うと水を置いて奥に下がっていった。

「はぁー日常会話が舞妓さんの使うような京都弁。い・い・ど・す・ね」

「感動しすぎだよ、ふーちゃん、それより道もわかったし何食べる?」と私。

メニューを見ながら皆それぞれに注文する。

「何、この花懐石って言う料理、可愛い過ぎ。写真撮ろっと」

私は撮り終わると、箸を持つ。

「あっ待って、まだ食べないで。私も撮るから」とふーちゃん。写真撮影で二人盛り上がる中、友が殿に地味に突っ込んでいた。

「水野君はそれで良かったの、夏なのに湯豆腐なんですけど」