ナショナリズムとグローバリズム

CFIUSでの経験や2000年初めにCIAで携わっていた他の件での仕事で、私が編み上げていた考えが、2015年の新聞の大見出しに躍り出た。

2015年6月16日に発表されたドナルド・トランプの大統領選キャンペーンは既存のメジャーな政党の候補者としては最も明確なナショナリスト的キャンペーンだった。それは1996年の共和党候補者指名争いに出たパット・ブキャナン以来のことだった。

このキャンペーンが功を奏して、トランプはセオドア・ルーズベルト以来最も強力なナショナリストとして2017年1月20日に大統領に指名された。

ナショナリストがその立場を打ち出して大統領執務室に座れたというのは100年間を通じて初めてのことだった。オバマ、ブッシュ両人、それにビル・クリントンはグローバリストである。

グローバリストとは、より強い世界的な共同体の利益を優先して妥協したり、譲歩してアメリカの国益を犠牲にするが、それが結局はアメリカの国益に繋がると考える人達をいう。

保守でタカ派のロナルド・レーガンやジョン・F・ケネディでも明確にグローバリスト陣営に入っていて、彼らは冷戦時のゴール達成に向け、NATO、国連それにIMFなどその他の多国間機関を当てにした。

リチャード・ニクソンの中国解放政策は有名であり、ジョンソンは地球を半分も行ったベトナムで積極的に戦争した。

そしてジェラルド・フォードによる1975年のヘルシンキ宣言での勝利などこれらすべて、同盟国と敵国から成る国際機関において、アメリカの国益が時には全体の利益のために犠牲になってでも、力強く関わっていくことを歴史に刻んだマイル標石なのだ。

テディ・ルーズベルトとトランプを彼らと分けるのは、孤立主義というよりはユニラテラリズム(一国主義)である。

アメリカの大統領は決して真の孤立主義者にはなれない。アメリカは世界から孤立するには大きすぎるし、豊かすぎる。またそのような立場を取るべきでない。

この2人と他の大統領との違いは、他の大統領の場合、アメリカは同盟国と、あるいは多数の国と共同して行動する。

この2人の場合、まずアメリカが自己のイニシャティブにより動き、最初は単独であるが、アメリカの方向性が明確になればその時に同盟国と協力して行動するのだ。