クリントン、ロシアそしてウラニウム・ワン

アトムはワイオミングの鉱山を一時的に閉鎖することもできる。ワイオミングの生産を市場から無くせば、短期的にコストを引き上げることになる。

突然の供給不足がウラニウムの国際価格を上げ、ロスアトムが保有する他の鉱山にメリットが生じる。

この価格操作戦略は世界規模の、しかも敵国により所有されているロスアトムだからこそ実行できるわけで、もし、アメリカの鉱山が中小の独立した企業に所有されていれば、決して実行できないことである。

このような供給の入れ替えや価格操作による市場戦略に私達アドバイザリーボードが着目し、それを議論の場に持ち込むことが期待されていたはずだった。

このような技術や能力は大抵の官僚には身についていない。彼らは常に輸出ライセンス問題などの最初の指令に集中して対応するだけだ。

結論として、ウラニウム・ワンの取引は国務長官とホワイトハウスが望んだためすり抜けて実行されてしまった。この手の取引は取引事例においては拒否される典型例であるにもかかわらず、無視されてしまった。

私達アドバイザリーボードの把握能力は重要な取引については専門的立場から貢献できる状態にあったにもかかわらず、その意見を求められることはなかった。