クリントン、ロシアそしてウラニウム・ワン

株式取得の流れで、ロスアトムは2010年6月にウラニウム・ワンの51パーセントの株式取得の計画を公表した。

この取引は2010年10月22日にヒラリー・クリントンの支持の下、CFIUSの承認を得た。そして年内に取引が完了した。2013年1月ロスアトムはウラニウム・ワンの全株式を取得し、会社を非上場とした。

現在、ロスアトムは旧ウラニウム・ワンの所有だったアメリカ国内の多大なウラン鉱山資源を保有している。この企業売買取引の様相は不可思議なものである。

ウラニウム・ワンの物語の時間の流れは2005年に始まり、2013年に終わるが、これは特攻大作戦部隊の活動時期に完璧に重なる。

この取引の実態は、敵国ロシアが重要な資源であるウランを買うという話であるから、典型例としてはっきりと否定されるものだ。何よりも不思議なことに、この取引は私達のところへ案件として上がってこなかった。

極秘会議や一般的会議であれ、どの会議にも一度も私達アドバイザリーメンバーの検討会や、個別案件としてですら、ウラニウム・ワン事案が語られることはなかったのだ。

それはあたかも諜報共同体内部の特殊経路を経て処理され、私達グループが行う分析を避けるように扱われたかのように思われる。ウラニウム・ワンは吠えない犬だった。

この取引はギストラの計画が進むにつれ、同時にニュースとして世間を騒がしたが、政治的スキャンダルとして表面化したのは、2016年の大統領選挙の時で、ピーター・シュヴァイツァーの暴露本《クリントン・キャッシュ》がウラニウム・ワンの話を詳細にカバーしたのだ。

この時点でヒラリー・クリントンの代理人は彼女の行動を防衛するために問題を逸らせる作戦にでたが、それでも詳細に調査されれば耐えることができないものだった。

第1の防戦はヒラリーはCFIUSの9の票のうち、一つしか持たず、単独ではウラニウム・ワンの事案でその結果に影響することはできないというものであった。

CFIUSでは9の票(8が閣僚レベルの省庁で、それに大統領の科学アドバイザーの票が加わる)で決めると言うのは真実であり、ウラニウム・ワンは満場一致で承認された。

それ故に、このクリントンの防戦は外見上支持されている。しかし、この防戦はCFIUSの実態と全く関係していない。実際は4票、国務長官、国防省、エネルギーそれに財務省、で決まる。

財務省は委員会を仕切り、議題を決定するので、最も重要な役割を果たす。諜報共同体の連中が呼ぶ「ダウンタウン」の長官会議は財務省ビルで開催される。

国務長官と国防長官が国家安全に係る決定権を有すると考えられ、他は全員傍観者扱いとなる。商務省は投資支持の応援団長と考えられていて、まともに扱われていない。