小説 詩 恋愛 2024.10.30 「詩集」ホロスより三篇 ただ意識を宇宙に放り出す 「どうぞ、カップの水を」 いや、待て、いらない 今私は私と向き合っている最中だ 悪いが後にしてくれ ッポンッ!…… 「かしこまりました……」 ……。 【前回の記事を読む】「詩集」ホロスより三篇 【イチオシ記事】老人ホーム、突然の倒産…取り残された老人たちの反応は… 【注目記事】見てはいけない写真だった。今まで見たことのない母の姿がパソコンの「ゴミ箱」の中に
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『アキレウスの迷宮』 【新連載】 小池 文平 「妙な彫り物と関わったせいで、あやうく殺されかけたのだ。」…イラク戦争の翌年、ケニア最大のスラム探検ツアーで… ああ、この心という、実体なき国。目に見えぬ光景と耳を打つ静寂の、なんたる世界であることか。このおぼろげな記憶、漠とした夢想の数々。えも言われぬエッセンスの、なんたる集まりであることよ。そして、すべての秘めやかさはどうだ。声にならぬ独白と、未来を予見する助言の秘密の劇場。あらゆる気分や思い、神秘が棲む、見えざる館。失望と発見が集う、果てしない場所。私たち一人ひとりが意のままに問い、可能なかぎりを命…