安打数の多さこそが4番バッターの証明の大きな一つ
表5に示したように長嶋は、年間最多安打を10回獲得している(日本記録)。
長嶋の在籍期間は17年であるから獲得率は59%で、2年に1回以上ということになる。
打者の評価の指標の一つとして、「出塁率」がある。安打、四球、死球による出塁合計数を打席で割った数値である。4打席4打数2安打0四球ならば出塁率0.500であり、4打席4四球ならば出塁率1.000である。あまり釈然としない指標であると思う。
出塁が簡単ではないのはわかる。しかし、とにかく出ればいい指標である。
一方、四球で点が入る場合は満塁以外にはない。塁上にランナーがいれば、安打の方がはるかに価値があるといえる。出塁率という指標は、1番、2番打者に求められる指標であり、3番、4番打者に求められる指標ではないと思う。4番打者に求められるのは、やはり、より多くの安打、特に長打であろう。
出塁率そのものを否定する意図はない。いろいろな指標を設けなければ、打者の特質により不公平が出るということもあろう。
一位の長嶋はダントツの10回獲得。今のところ不滅の記録である。長嶋に続くのが川上である。
一試合当たりの安打数では、イチロー、川上、長嶋と続く。イチローは日本で続けていれば受賞回数は長嶋を抜いただろうと思われる。「安打製造機」張本は、ここでは5位である。
王は、一試合安打数は1を切っているが本塁打が求められるバッターであること、そして敬遠数の多さから仕方がない部分もあるだろう。シーズン最多安打獲得が“0”であっても一試合1安打以上打っているのは4番の役割を果たしていると言える。野村は26年もやっていて一試合安打数で1近い数値を残しているのは、勝つための野球をずっと継続した証であろう。
【前回の記事を読む】打者の実力を測る時の一番大きな指標「敬遠四球」この記録から見る長嶋茂雄の実力とは。
次回更新は10月29日(火)、12時の予定です。