新人で3割打者の長嶋
鳴り物入りでプロ入りしてすぐに額面通り、いや、それ以上の活躍をすれば、人気が出るのは当たり前である。しかも一発屋(最初の1年のみ)でなく入団1年目で二冠王(打点、本塁打)、2年目から4年目まで首位打者獲得となれば、不動の人気を得るのは当然と言える。
長嶋は1958年、東京6大学の本塁打新記録保持者(8本)として鳴り物入りで巨人に入団した。2リーグ制以降、これまで9名の新人が打率3割を達成している。牧秀悟(DeNA)は2021年入団での快挙、プロ1年目のシーズンを終えたばかりだ。ここではそれ以外の8名の入団4年間の成績を見てみよう。
見ての通り、新人で3割を打った打者で打撃3部門のタイトルを取ったのは長嶋一人である。新人1年目、2年目続けて3割を打ったのは4名(長嶋、高橋由伸、横田真之、坪井智哉)であるが、横田と坪井の本塁打は一桁台である。長嶋がただ一人、4年連続で打率3割を達成していることにも注目したい。また、意外にも、新人で3割を打ちながら終身打率3割を維持したのは長嶋ただ一人である。
別の選手に注目すれば、高卒でありながら3割(はただ一人)、本塁打30本以上とした清原和博はすごい。清原の生涯成績を見ると、もっと数値を残せる打者だったと思う。また、同じ高卒には2年目から二冠王を含むタイトルを取り怪童と呼ばれた中西太もいる。
王を育てた荒川博コーチが「右では長嶋以上」と中西を評したのは誇張ではないだろうが、終身の成績はここに出てくる打者と比較すると平凡だと言えるか(通算安打1262、本塁打244、打点785)。
なお、2リーグ制以前には新人3割打者は3名いたが、2年目においては3名とも3割を切っている。
【前回の記事を読む】長嶋の大人気はマスコミが作ったわけではない!彼が希代のスーパースターであったことを記録から解説!
次回更新は10月26日(土)、12時の予定です。