翌日、翔が昼過ぎに帰社すると王子と王女来訪の話で社内は持ち切りだった。

直ぐ翔は高垣の処へ顔を出した。高垣は待って居たかのように直ぐ西田を呼び、二人で王子・王女との面会の話をした。

その際、特に気になった王子・王女が翔に救って頂いたと話され、大変感謝されていた事を話して「そんな話を翔はしなかったけれどお二人がそうおっしゃるのだから本当だろう!? どうなんだ、翔!」と尋ねた。

翔は、「私は前にもお話ししました通り、王子様と王女様を襲った犯人がお二人を見つめていたのでお二人の処へジャンプしたのは事実です。ですが、お二人にそう思って頂いているのですか! それは有難いお話だと思います」と感慨深い顔をした。

高垣が「王子と王女がお帰りになる時に是非お会いしたい!!と何度も言われたので、此のまま放っておくのは大変失礼に思う! だから翔!! ドバイへ行ったらどうだ? 時間が合うようなら私も一緒するから!」

「えっ! そうですか!? 高垣さんがご一緒頂けるのでしたら安心です。上手く遣り繰りして見ます。有難うございます」と言った。

横で聞いていた西田も眼鏡の奥で行きたそうにしていた。其れを見て高垣が「西田も一緒したいだろうが、支社を私も西田も空けるのは余り良くないので、今回は申し訳ないが留守番を宜しく頼むよ!」そう言われると西田も「分かりました」としか言いようが無かった。

英国四井物産で高垣支社長達との面会を終えホテルへ戻る車の中、王子、王女も助けて頂いた方に会えなかったので悲しくなっていた。特に王女サンドラは会えなかった事による涙が零れそうになっていた。

王女は助けて頂いた男が重くのしかかっていた時を思い出していた。

大きくて硬い胸が王女サンドラの顔を押しつぶしていた。でも男の腕のお陰で息苦しくなく凄まじい音が至る所で続いているので怖くて震えていた。

顔には男の顎からボタボタと血が額に落ち髪から顔からドレスへと流れ込んでいく。この人は死んだのかしら? と思っていた時少し軽くなって、男が微かに覗きながらAre you OK?と聞いてきた。

サンドラは良かった、未だ生きていると思い軽く頷いた。十六歳のサンドラは父の国王以外の男性をこんなに身近に感じる事は初めてで何かドキドキしていた。

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