駐車場は空っぽなので、更に週末か祝日に絞ることが可能だ。その時点であなたは60日まで絞っており、カレンダーの85パーセントは消去している。なかなかのスタートである。
次に建築日時を知っている特定の建物を探すことになる。ケネディセンターが写真に写っているので、これは1970年以降に撮影されたことを確認できる、などなどだ。
もっと専門的な分析官ならワシントンDCにおける建築許可の記録にアクセスして、ブロックごとに調べ上げ、特定のビルの有無によって特定の年まで絞り込むことができる。
時間に関しては、見込まれる日を絞り込んだ後は、その日の方位角により、ワシントンのモニュメントの影が世界最大の太陽時計になってくれる。あなたのゲストはこの記念館を去る頃には、国立の地球空間的諜報機関で想像上の分析作業を終えたような気分になっているだろう。
もちろん口紅ガンや白黒写真は現代のスパイが所有しているようなデジタル化されしかも極小化された分光学的技術に比べ幼稚なものだ。しかしここで急所を見失ってしまいがちだ。
CIA記念館の展示に見られる創意はそれ自身感動を与えるものであるが、冷戦下のロマンスと命を賭けた真剣さをも呼び起こすのだ。
興味深いことではあるが、昔の学校の道具やスパイ技術が突如新しさを取り戻したのだ。洗練されたハッキングの道具やフラッシュドライブの進歩により最も進んだデジタルシステムでさえも攻撃を受けやすくなっている。
諜報エージェント達は侵入を恐れ、非デジタルの道具へと回帰している。ロシアのKGBの後継機関であるFSB諜報サービスは近年、内部報告とメモ作成のためタイプライターを注文した。
タイプライターはハッキングされず、デジタル証跡も残さない。スパイ技術のブラッシュパス(すれ違いざま手渡す)、デッドドロップ(特定の場所に隠して渡す)、ワンタイムパッド(暗号表の使用)などがスパイやケースオフィサーの間で復活している。
次回更新は10月23日(水)、8時の予定です。